エレベーターの発明により、都市の高層化が急速に進んだと言われる。
垂直化された都市の象徴とも言えるエレベーターホールで、摩天楼の中で生きることを表現し再考するインスタレーションを行う。
洗練された人々と充実した情報が溢れる流行の発信地。都市は煌びやかで出会いと発見に満ちた場所。その一方で、都会特有の冷たさや孤独、疎外感を感じることもある。
高度に体系化され管理された社会の中で起こる、無秩序な人々の笑い声、街のネオンライト、路面が雨をはじく音、厨房から排気されるにおい、クラクション...
スマートフォンとラップトップでネットワークに常時接続され、感覚器官としての身体を拡張しつつある私たちは、これら都市の様相を一つの自律的で総体的な “現象” として知覚し始める。バーチャルとリアルの境界も消え、都市という高密度に人の思考や活動の歴史が凝縮された“現象”の中に、自分の存在を認識し直すことができるかもしれない。